完璧な母親 - 森の中のティータイム

「透明なゆりかご」の第7話は、これまでよりも一層心に残るものだった。

その昔、私たちが子育てした時代は、世間もそれほど他者の子育てに関して今ほどの「厳しい目」が

なく、「今だったらベランダに締め出した『お仕置き』も虐待通報されるのかもねぇ」などと友人と

話すこともある。 それくらいのことを「躾」として、殆どの家庭がやっていた時代だった。

強い父親が子供を殴る家庭もあり、さすがの夫もそれはやらなかったが、そういうことさえ黙認され

る時代だった。(ただ小さい息子の手の甲に、お灸をすえた夫には猛反発したことがあった)

ある家庭では「謝るまでご飯抜き」だったり、我が家でも「人に悪いこと」をしたら、撓る素材のハ

タキの柄で「お尻ペンペン」を6年生までと「決めて」やっていた。私の母は、姉たちのお仕置きに

押し入れに閉じ込めるという罰を与えていたそうだ。でも、そのうち「おしっこが出る〜」と喚くと

布団に被害が及ぶのを恐れた母が慌てて出してくれるという「知恵」を、長姉が身に着けたことで廃

止したらしい(笑)

だけど、この回に登場する主人公の幼馴染みの少女時代は、そんな冗談交じりで話せるレベルではな

かった。少女の母は再婚相手の子供を産んだ後、少女を物置小屋で生活させていた。新しい夫が少女

を嫌っていただけでなく、母親も愛情を無くしていたからだ。いつも汚れた服を身に着け、髪はクシャ

クシャ。食べ物も満足に与えられずにいた。

ある日少女が学校から帰ると、大切にしていた自分のものを弟が切り刻んでいた。それを止めた時、

弟は取りあげたはさみで小さな怪我をしてしまった。

それを見た母は怒りで娘の顔をハサミで切りつけ、少女は施設で暮らすようになった。

明らかに虐待だった。

けれど、それからもずっと少女は母が自分を生んだ時の母子手帳を「心の支え」にして大切にしてい

た。 主人公のアオイも、幼い頃「注意欠陥多動性障害」と診断された時から、母との関係に悩んで

いた。時に母をイラつかせる自分を、母親が嫌っていると思い込んでいた。そして「母子手帳」を

恐る恐る開いて読むと・・そこには生まれたアオイに愛情をたっぷり注ぐ母がいた。

確かに母親はアオイの言動や行動に戸惑いを隠せず、注意したりキツイ言葉を投げかけることが多か

った。どんなに愛しいと思っている子供にも、子育てした人の誰もが経験する「困った」とか「異常

かも」とか、不安な気持ちからどん底に突き落とされてしまうことがある。

睡眠不足や疲労に拍車がかかる「夫の協力がない家庭」では、特にそうだと思う。マイナス思考になり

私も子供の入院以後、心配し過ぎから軽い「育児ノイローゼ」になった。あの頃、先輩ママのご近所さ

んたちに「焦らなくても大丈夫!」と優しく諭してもらえなかったら・・と思うと今更ながら怖くなる。

きつく叱った日の夜、子供の寝顔を眺めて「自分の未熟さを恥じた母親」は、私だけではなかったと思う。

「完璧な母親」なんて世界中どこを探しても「胸を張って言える人」なんて居ないと、今なら判る。

ただ、子供を誰よりも愛しているのは自分だと、それだけは胸を張って言える。

それだけは自信を持って。

子供たちには、それぞれの人生を歩んで欲しい☆